今回は、イギリスの多才なエッセイスト ジョゼフ・アディソンの言葉をご紹介！

"When men are easy in their circumstances, they are naturally enemies to innovations." -Joseph Addison
現状に安らぎを感じているとき、人は自然と革新の敵となる。

【解説】
ジョゼフ・アディソンは17世紀から18世紀にかけて活躍したイギリスのエッセイスト。
今ではエッセイストとして知られているアディソンですが、政治家、劇作家、詩人、文学者としても知られている多才な人物。
最も有名な著作『Cato』は、あのアメリカ合衆国初代大統領ジョージ・ワシントンも愛読したと言われています。

アディソンは著名な聖職者の息子として生まれました。
オックスフォード大学ではラテン語の詩作などで優秀な成績を修め、特待生に選ばれるなど、早くからその才能を発揮します。
卒業後はオックスフォード大の講師の職につきながら文学者や政治家と交流を深めました。

1704年、『野戦』で一躍文名をとどろかせたアディソン。
1708年には国会議員としても活躍するようになります。
翌年には旧友とともに評論・随筆新聞『タトラー』を創刊。
政党の御用新聞とは異なり、中産階級に向けて道徳や宗教、芸術といったトピックを易しく説き、大成功を収めます。
時の政権から睨まれた『タトラー』は1911年に終刊の憂き目に遭いますが、同年すぐに日刊紙『スペクテイター』を創刊。
こちらも一般大衆に向けた平易な内容で多くの読者を集めました。

アディソンの文章はエレガントで軽妙洒脱。『スペクテイター』紙の創刊理由に、「道徳に機知による生気を与え」て社会を改良し、「哲学を書庫や大学から引きずり出し、お茶会やコーヒーハウスに宿らせる」とあるように、アディソンの、一般にもひろくわかりやすい散文スタイルは、18世紀市民文学の基礎を確立したとも言われています。

日常に道徳や哲学を持ち込んだアディソンの言葉。今回ご紹介した言葉にも、何かはっとするものを感じます。