今回の格言は、中国の思想家の『魯迅』の言葉。

There's no such thing as natural genius. I put my effort into work while others put theirs into drinking coffee.

天才なんかあるものか。僕は他人がコーヒーを飲んでいる間に仕事をしただけだ。

【解説】
中国で最も早く西洋の技法を用いて小説を書き、「中国近代文学の祖」とも言われる魯迅。

儒教的・封建的な古い制度や文化に反対し、科学と民主主義を掲げて、中国の近代化と文化の普及を目指した「新文化運動」の中心人物としても知られています。

魯迅は、幼少期に家の没落を経験しますが、経済的・精神的困難を乗り越えて南京の理系学校へ進学。

後に、学費免除の官費留学生として日本への留学を果たします。明治末期の日本で数々の西洋文芸に触れるうちに、理系の学問から文芸の世界へ、次第に傾倒していきました。

留学を終え、中国へ帰国後すぐに辛亥革命が勃発。

魯迅は、教員の職を辞して新政府に教育部員として参加しますが、旧態依然とした革命の現実に失望し、中国文学の研究に没頭することに。

この沈黙の時代に深めた中国の歴史と民族に対する思索が、後に魯迅の代表作となる『狂人日記』や『阿Q正伝』といった作品に結実していくこととなりました。

短い人生のうちに、数々の逆風に見舞われながらも、魯迅は、歴史に残る傑作を生みだしています。

それは、魯迅の言うように、決して彼が「天才」だったからではなく、逆風の最中でも、その時できることに全力で向き合い、努力してきたからなのでしょうね。

そう考えると、悩んでいる時間がもったいなく思えてきました。