今回の格言は、風刺作家の『ジョナサン・スウィフト』の言葉。

We have enough religion to make us hate, but not enough to make us love one another.


憎しみ合うための宗教は十分にあるが、互いに愛し合うことを促す宗教は我々にはない。


【解説】
18世紀のイギリス文学「ガリヴァ―旅行記」の作者として有名なジョナサン・スウィフト。

童話を書いたのだからさぞかし温厚な人だろう、なんて思ったら大間違い。

彼の作品は、毒の強い風刺や皮肉がたっぷりで、かなりのひねくれ者とされています。 毒を吐きすぎるために、匿名で出版していたこともあるのだとか。

政治活動に加わっていたこともあり、彼の作品には政治的メッセージが多く含まれているのも特徴です。

多くの方が子どもの頃に読んだ「ガリヴァ―旅行記」は抄訳版で、実際はかなり大人向け。

本に登場する国々の紛争は当時の英仏戦争や国内の宗教対立を示し、登場人物たちは、その名前は変えてこそあるものの、実在する有力者たちを示しており、彼らを思いっきり批判しているのです。

また、作品の中には、空飛ぶ島「ラピュータ」や野蛮生物「ヤフー」といった、現代の我々にとって耳馴染みのあるワードも登場。

スウィフト作品の影響力が伺えますね。

歴史的背景を把握した上でオリジナル版を読んでみるのも面白いかも。

ジョナサンが生きていたのが今から約300年前。

長い年月を経た現在でも、宗教対立は当然のように存在し、過激化しているようにも見えます。

理解し、受け入れあう世界が来るまであと何年かかるのか。

比較的宗教に寛容な日本人も、世界の一員として積極的に考える義務があります。